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風に向かって 壁に向かって

風に向かって書くように。壁に向かって話すように。日記や考え事の中身を書いたり、気に入ったものの紹介をしています。どちらかといえば個人的に。

誰も呼ばないで。

誰も呼ばないで。私の名前を呼ばないで。

少しだけ死んだままでいたいの。

置き去りにされた夜の海みたいに。

結婚式の写真の中で

結婚式場のスクリーン。

馬鹿みたいにピースサインをしている仲間が写っていた。

 今よりも若い僕達。

写真のなかの僕らは、今の僕らよりもずっと友達であるように見える。

 ただそれだけ。

女の子が死ぬ話

誰の心にも、ひとりの死んだ女の子がいる。

十五歳で死んだ女の子。

 

病気なのか事故なのか、それとも自分で死んだのか。理由はひとりひとり違うのだろう。

いつか、突然女の子がひとり死んでいたことに気づく。誰にも看取られずに。

 

彼女の死から何年も経っている。

もう声が思い出せない。

彼女が笑ったこと、泣いたこと。全部大人には分からないことだった。

 

時々彼女のことを思い出す。暖かい薄もやのようなイメージとして。

草原の夕焼け、夕暮れの港、傷ついたレコード。

「綺麗だね。」って彼女の想い出が言う。ささやかな声も立てずに。

「うん。」と僕も返す。なるだけ小さな声で。

 

全ての美しいものは、きっと十五で死んだ女の子のものなんだ。

彼女はずっと十五歳のまま。

僕らの中にはもういない。

 

女の子が死ぬ話 (アクションコミックス)
 

 

もし明日隕石が落ちてきたら

もし明日隕石が落ちてきて、地球が滅ぶとわかったなら最後はどこで過ごそうか。

昔からずっと考えてる。

 

子供の頃はけやき並木。図書館に続く木漏れ日の中。

背が伸びきった頃は弓道場。虫の鳴いてる矢道の芝生。

怠け者だった頃ならサークル棟の部室。楽譜とCDでゴチャゴチャしたあそこ。

 

それから少したった今。この世の何処も思い浮かばなくなった。

でも隕石を待ってる。ずっとずっと。

最後かもしれない朝焼けから顔を背けて。

人間は亡くなったりしない

「亡くなる」という言葉が嫌いだ。

亡くなったんじゃなくて、死んだんだろ?と言いたくなる。

 

死の持っている残酷さ、荒々しさ、無意味性に鈍感になりたくはない。

 

人間は亡くなったりしない。死ぬだけ。

名前のない怪物

個人的な、優れたゲームやアニメの曲の評価軸の一つとして「どれだけコンテンツの中身を表現しているか」という要素がある。

極端な話、この曲だけで中身の主題が十全に理解できる!!、というのはすごいなぁ、と思うのだ。

(一番すごいと思ったのがアニメ版「ぼくらの」の主題歌「アンインストール」。これを聴けば漫画読む必要ないんじゃない?ってくらい作品の主題が詰まってる。)

 

アニメ PHYCHO-PASSのエンディング曲「名前のない怪物」も主題とピッタリの曲。

もちろん浦沢直樹の「Monster」に出てくる連続殺人犯がモチーフ。

 

この曲の海外素人さんによる英語ヴァージョンが、とてもよくできていて感心した。

原詩をそのままで訳すと、むしろ主題から遠ざかってしまう現象がよくあるけれど、

この人の詩は意訳ぎみに作りながら、むしろ本編の主題に近づいている。

極端に言えば、原詩よりも作品の主題に近いんじゃないだろうか?

ということで気に入ったので英語→日本語と再翻訳してみた。

 

ちなみにPHYCHO-PASSってこんな話

・身体、精神の執拗な監視により、犯罪を起こしうる不健全な人間を先回りして裁く未来の超管理社会が舞台

・凶悪犯罪を追う刑事たちが主人公

・狂った社会の巨大な正義と、自分の感じる小さな正義

 

このアニメ、主人公も敵方もめっちゃ本を読みます。

シェイクスピアからルソー、コンラッドから寺山修二、オーウェルやギブスン、はてはパスカルなんて専門の学生以外読まんわってやつまで。あらかじめ裏切られた革命、とか今手に入らんし。

 

 

ちなみに下の訳で一番好きな部分は

Come to light, the “right” that makes them higher 

To keep them down before they open fire

の部分。

 

 

 

 

『Monster Wthout a Name』 JubyPhonic 英訳

             Yama 日本語訳 

 

Fairy tales I knew  懐かしいおとぎ話が 

Right before me, they died 死に絶えたその時のこと

Brick and rooms of white and red 赤と白の煉瓦造りの部屋の中

I couldn’t sing or even try 何も歌えないままの私がいた

Cutting the hazy covered night 靄がかった夜空に刃を振るうように

The scarlet moon is burning high 赤い月は高く弧を描く

My open eyes, look at me now 鏡の中、私の眼が私を見ている

Don’t try to turn or run away 目をそらさないままで

 

Cried out behind a cage of black and iron 黒い鉄格子の内に燃える炎

My life began, I’m born inside a fire そこが私の生まれた場所

They pray “forgive me of my many sins” 善き人は神に許しを請う

And if you want, I’ll give you what you most need だから私が与えよう

Come to light, the “right” that you desire 私の欲するがままの善きものを

Destroy them all before they open fire みんなを壊してしまわないと

                    みんなが私を撃ち殺す前に

The karma game still has a price to pay 生きるとは殺すということ

So as you move today, the monster goes along だから今日も生きていく

Without a name 私の中の名前のない怪物とともに

 

Ringing my ears, I couldn’t think 鐘の音が鳴りやまない夜

The wired fence waking the dead 鉄条網のフェンスが死者を呼び覚ます

A song I heard so long ago 昔聴いたあの曲が

But how’d it go or sound back then? 今聴こえてくるのはどうして?

Still pouring down the rain outside 外はまだ雨が止まない

How can I see when I’m so blind? なにも見えない外を見つめている

Tearing away, look at it now 君にもわかるでしょう?

It’s growing bigger every day 私の中の怪物が大きくなっていくのが

 

Bring down the rain and paint me black as iron 全てを鉄格子と同じ色に染める雨

My life could end and leave me undesired この生は望まれないもの

I’m breaking down as they all gather ‘round 私を裁こうとする人の群れの中で

The people acting now like they can judge me 私がどんどん壊れてゆく

Come to light, the “right” that makes them higher だから引きずり降ろさなくちゃ

To keep them down before they open fire 正しさの高みの上から石を投げる彼らを

The scar remains  but I don’t care the same  みんなが私を打ち殺す前に      

So as you move today, the monster goes along 私は生き抜いてみせる

Without a name 名前のないの怪物を抱えて

 Ah god on high speaks so low いと高き神が冷たい声で告げる

as he shows our one true world このたった一つの世界の中で

 

以下繰り返し。

 

人生はただ一問の質問

 

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人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ 寺山修司

 

人生は一問の質問である、とバサッと言われてしまえば、そんなもんかな、って気がしてくる。

けれどその質問を受け取れる人はすごく少ないと思う。

 

自分が思うに、多分「一問の質問」を問うナニカは一言も発しないだろう。

ただ黙って問の存在を示すだけだろう。

 

この問われない問いをきちんと理解できる人がいる。

自分の人生で何が問われているかを知り、一生をかけて答えを返そうとしている人。

きっとスポーツ選手のあの人や、小説家のあの人、起業家のあの人とか。

 

耳を澄ましても、普通の人間にはわからない。

自分も適当に年を取って、それで死んでいくんだろうな、と思った。

人生の「ただ一問の問」が何であるかを知らないままで。

 

って感じのことを、姉から送られてきた写真を見て考える初冬。