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風に向かって 壁に向かって

風に向かって書くように。壁に向かって話すように。日記や考え事の中身を書いたり、気に入ったものの紹介をしています。どちらかといえば個人的に。

女の子が死ぬ話

誰の心にも、ひとりの死んだ女の子がいる。

十五歳で死んだ女の子。

 

病気なのか事故なのか、それとも自分で死んだのか。理由はひとりひとり違うのだろう。

いつか、突然女の子がひとり死んでいたことに気づく。誰にも看取られずに。

 

彼女の死から何年も経っている。

もう声が思い出せない。

彼女が笑ったこと、泣いたこと。全部大人には分からないことだった。

 

時々彼女のことを思い出す。暖かい薄もやのようなイメージとして。

草原の夕焼け、夕暮れの港、傷ついたレコード。

「綺麗だね。」って彼女の想い出が言う。ささやかな声も立てずに。

「うん。」と僕も返す。なるだけ小さな声で。

 

全ての美しいものは、きっと十五で死んだ女の子のものなんだ。

彼女はずっと十五歳のまま。

僕らの中にはもういない。

 

女の子が死ぬ話 (アクションコミックス)