最愛の綾波レイ
最愛の綾波レイ。
一緒には死んでくれない綾波レイ。
「あなたは死なないわ。私が守るもの」
今日見る月がとても青い。綾波。最愛の綾波。
最後の吐息はオレンジ色で、僕の胸にばちゃっとかかった。
ぜったい力を緩めちゃダメだ。逃げちゃダメって何回も言ったろ?
きっかり620秒でおしまい。
気持ち悪いなんて絶対に言わせない。
ぐにゃぐにゃになった体。白い白い白い首。
見開くお目々は赤いままで、青い髪じゃ馬鹿みたいだから、市のゴミ袋で覆ってあげた。
なんだ。この子もLCLにならないのか。
こんなにいい子、他にいないよ?
僕はベッドに腰掛けて、スマホのゲームでガチャを回す。彼女の体を踏みつけていく電車の音なんか消えればいい。
一体どこへ行けるっていうんだろう。誰もいない僕だけで。
喉が渇いた。コーラが飲みたい。
そうだ。
ぽっかり月が隠れたら、船を浮かべて出かけよう。
大洗にいけとみんな言うんだ。そこからフェリーに乗り込もう。